[外伝作品] 魔法少女すずね☆マギカのあらすじ・考察・ネタバレ

まどマギシリーズの外伝作品である「魔法少女すずね☆マギカ」のあらすじや考察、感想をまとめています。マギアレコードにも登場するキャラクターたちの参考にしてください。ネタバレを含みますので、閲覧にはご注意ください。


作品概要

概要

原案はMagica Quartet、漫画はGANが担当する魔法少女まどか☆マギカシリーズの外伝作品。単行本は全3巻、16話完結。魔法少女まどか☆マギカの世界観をベースとし、新たに書き起こされた作品であり、第1巻は描き下ろし、第2巻以降は「まんがタイムきららフォワード」にて連載された。

外伝作品としては魔法少女おりこ☆マギカ、魔法少女かずみ☆マギカに続く3作品目となる。作品を通してのテーマは「魔法少女そのものの善悪を問う」というもの。インキュベーターの思惑にどう対抗するか、運命にどう抗うかというテーマが多い本編やその他外伝作品の中、より人間的本質に問いかけるものと言える。

作品の舞台

TVアニメ本編(まどマギシリーズではアニメ版が原作扱い)では、見滝原市を中心に物語が展開されているが、本作の舞台は「ホオズキ市」という架空の都市である。なお、このホオズキ市は他の作品には登場していない。

第1話にてスズネが読んでいる新聞にて、「ホオズキ市内の廃工場」という表現があることで判明。「ホオズキ市在住の美琴椿が行方不明」と報じるニュースが流れる描写もある。なお、主人公のスズネは、本作冒頭の1ヵ月程度前に現在の中学に転入してきたとなっている。

なお、スズネたちの通う学校は「茜ヶ咲中学校」であり、この茜ヶ咲がホオズキ市内の地名を表すものである可能性もある。

衣装

同じく外伝作品である「かずみ☆マギカ」と比べれば全体的に落ち着いている印象ではあるが、主人公であるスズネに至っては、ロングコートで隠れてはいるものの、その下はスポーツブラのみでヘソ出し、ホットパンツの丈はあまりに短い。また、作中では(すぐに死んでしまうので) あまり描写はないものチサトの衣装もかなり際どい。 (かずみの露出度が極端に高かったのでこの程度なら問題ないようである)。


身長/体重の設定

アニメ本編で登場するキャラの中でさえ、まどかの身長が150cm無い程度ということしか公式な設定が無い中、すずね☆マギカに登場するキャラに関しては第1巻において、身長・体重・血液型が判明している。他の外伝・外伝作品には見られないため、これらが公開されている点はかなり珍しい。

登場キャラクター

魔法少女すずね☆マギカに登場するキャラクターの一覧です。ネタバレを含みますのでご了承ください。

天乃鈴音 (あまの すずね)

身長152.6cm、体重42.0kg、O型 。
本作の主人公で、ホオズキ市の魔法少女。中学1年生。
中学生ながら毎朝新聞配達をして、新聞販売店で下宿する表の顔と、日々、魔法少女を殺して回っているという暗殺者としての裏の顔を持つ。幼い頃、両親が魔女に殺され、結界に迷い込んでいたところを美琴椿(みことつばき)によって助けられ、その彼女に憧れて魔法少女として契約をした。

魔法少女としての固有の能力は「能力のコピー」。倒した魔女の能力を吸収し、保持、自在に使えるというものであるが、同時に保持できるのはひとつだけである。魔女化してしまった恩人の椿の能力を使用し続けている。

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奏遥香 (かなではるか)

身長161.5cm、50.2kg、O型。
茜ヶ丘中学校の3年生。生徒会役員(*役職は言及されていないがおそらく生徒会長)。同じ学校の魔法少女のマツリ、アリサ、チサトと4人で魔法少女のチームを組んでおり、そのリーダーも務める。魔法の性質は「魅了」で、敵の視線を引き付ける。

何でもできる姉に強いコンプレックスを抱いていたハルカは、出来心から「姉を消してほしい」と願ってしまい、魔法少女となっている。その罪の意識を覆い隠すように完璧な自分を演じていたが―

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日向茉莉 (ひなたまつり)

身長147.6cm、41.3kg、O型。
スズネとは同じクラスの中学1年生。目が見えなかった彼女は、自分の目が見えるようなるにと願って魔法少女になった。魔法少女の秘密を知った後も、その願いがかなったことで後悔はしなかった。武器は巨大なガントレット (手袋状の甲冑のこと) 。光を放ち目くらましを行ったり、頭に耳のようにつけたスピーカーから魔力を音波のように放出し、探知魔法を使うこともある。カガリという双子の姉がいるが、その記憶は消されている。

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成見亜里沙 (なるみありさ)

身長156.2cm、45.8kg、B型。
茜ヶ丘中学校の2年生。学校で酷い虐めに会っていたアリサは、中学1年生の時、「皆を見返すために、もっと強くなりたい」と願い、魔法少女として契約をしている。しかし、対価として力を得たアリサの態度は次第に横柄なものになっていき、彼女の本当の望みとは裏腹に、周囲はアリサを避けるようになっていた。チサトのおかげで更生し、共に魔法少女として活動することになっていく。

武器は身の丈ほどもある大鎌。魔法の属性は「強化」。固有魔法として「ブースト」があり、身体能力を飛躍的に上昇させることができる強化魔法を持つ。しかし魔力消費が激しい諸刃の剣である。本作の主人公はスズネであるが、作者は「アリサだけは主人公にするつもりで描いていた」ともしている。

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詩音千里 (しおんちさと)

身長155.4cm、44.7kg、A型。
茜ヶ丘中学校の2年生。作中には無いが、作者によると風紀委員+水泳部という設定。競泳用水着の上からミニスカポリスをモチーフにしたような衣装を纏い、銃を武器にする。第2話にて、街中をパトロール中にスズネと遭遇するが、仲間が駆けつけた時には背中から剣が貫かれ、既に死亡していた。

魔法少女としての願いは「父の更生」。絵本作家であった彼女の父親は、次第に本も出版されなくなり、それから酒に溺れ、家族にあたるようになっていた。母も無理がたたり亡くなってしまい、それでもずっと我慢していたが、限界に達したころにキュゥべえが現れ、父の更生を願ったのである。

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美琴椿 (みこと つばき)

ホオズキ市の元魔法少女。ストーリー上ではすでに魔女化し、死亡している。日向家にシッターとして働いており、カガリやマツリの母親代わりとして精神的な支えになっていた。ある時、魔女に両親を殺され、結界に取り残されたスズネを保護することになり、日向家での仕事を辞め、スズネと一緒に暮らすことになる。

具体的な年齢設定は無いものの、20歳前後を想定してデザインされており、魔法少女としては年齢は高め。魔法少女となったスズネを庇うように積極的に魔女と戦い、ソウルジェムの浄化もスズネを優先したため魔女化、スズネの手によって倒される。

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日向華々莉 (ひなた かがり)

日向茉莉の双子の姉。本作の黒幕であり、スズネが魔法少女を狩るようになってしまった元凶である。幼少時、自分たちの面倒を見てくれていたツバキがスズネのもとへ行ってしまったことを逆恨みし、スズネに復讐するために魔法少女となった。

極端に被害妄想が高く、どこまでも自分勝手で、簡単にいえば幼稚。我儘な子供がそのまま成長してしまったようなキャラクターである。スズネを徹底的に追い込み、絶望させて魔女化させるのが目的であり、他の関連作品に登場する魔法少女たちと比較してもその陰湿さは極まっている。

武器は手裏剣とチャクラムを合わせたような投擲武器。固有の能力として、相手の記憶や意識を操ることができ、記憶を書き換えることはもちろん、戦いながらリアルタイムで相手の意識を塗り替えることで幻覚を見せたり姿を隠したりもできる。ほとんどチート級の能力といっても過言ではないが、マツリの探査魔法の前に位置が割れて追い詰められており、完璧なものではない。

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カナミ

第1話冒頭でスズネにいきなり切り殺されてしまった魔法少女。武器は二刀流のダガー。魔女相手に手こずっていたところをスズネに助けられる形になったが、戦闘後に名前聞かれ、「カナミ」と答えた彼女は握手をしようと手を差し出すと、その瞬間、スズネの剣は無慈悲にも彼女の喉元を切り裂いてしまった。第1話で主人公があろうことか同じ魔法少女を切り捨てるという非常に衝撃的な場面である。

作者によれば、色のイメージは赤と白。ボツにしたデザインを再利用しており、具体的な設定は多くないものの、人を信じやすく騙されやすい、貯金が趣味で、焼き芋が好物とのこと。

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第1巻

作中では名前の表記はほぼカタカナになっているため、以下、同様に表記します。


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健気に住み込みで働く中学生、すずね。
いつも笑顔で生活する彼女には、裏の顔があった。
それは、魔法少女の暗殺者。
迎え撃つ4人の魔法少女たちの運命は--!?
"魔法少女"の存在、そのもののの善悪を問う
描き下ろしスピンオフ第1巻!

第1話 表裏

天乃スズネは魔女を退治に結界の中を進んでいた。魔女の元にたどり着くと、そこには先に魔女と戦っている魔法少女がいた。手間取っている様子を見たスズネは一気に魔女を倒す。

その後、助けた形になった魔法少女に自分の名を告げ、彼女に名前を尋ねるスズネ。そして彼女はカナミと名乗った。しかしカナミが握手をしようと手を伸ばした瞬間、スズネの刃はカナミの喉元を切り裂いていた。その顔は返り血で染まっていたその顔は冷徹な殺戮者のものであった。

成見アリサ、日向マツリ、詩音チサトの3人は朝、一緒に登校していた。学校についた時、彼女たちは生徒会の仕事で朝の挨拶運動をしていた奏ハルカに会う。些細な会話をしたのち彼女らはそれぞれの教室へ向かうが、マツリが廊下を急いでいると、彼女のカバンからウサギのアクセサリが落ちてしまった。

それを拾って渡してくれたのはスズネであった。カナミを切り殺した顔とは違い、その顔は中学生らしい、優しい笑顔であった。


第2話 邂逅

スズネは早朝から、街中を自分の足で走りながら新聞配達を行っていた。街の人たちとも挨拶をしながら配るほど馴染んでおり、下宿先の新聞販売店に戻ると、彼女は学生服に着替え、身支度を整えていた。そのまま朝食を食べながら新聞を読んでいると、そこには廃工場で起きた殺人事件のことが書かれていた。

スズネが学校に着くと、生徒たちは「キリサキさん」という話題で持ちきりだった。最近流行っている噂話であり、夜ひとりで歩いてると、突然鈴の音が聞こえてきて、どこからか現れたコードを来た女から名前を聞かれて答えると、刃物でズタズタに刺されて殺されるという。

授業中、スズネは小さな紙の切れ端に「カナミ」と名前を書いてポケットに忍ばせていた。

スズネは授業が終わり、まっすぐ帰宅しようとしていると、下駄箱のところでマツリが声を掛け、一緒に帰ることになる、なぜ自分にかまうのかと問うスズネに対し、マツリは仲良くなりたいから・・・かなと答える。友達になりたいというマツリに、あまり興味を示さないスズネであったが、マツリはハルカたちから呼び出され、別れることになる。

マツリは急いでハルカたちの元へ向かうと、そこで「キリサキさん」に関して情報を聞かされる。ハルカによると、被害者は包丁やナイフなどよりもっと大きなもので切り裂かれており、被害者は全員10代の女の子であるという。魔女であるかは確信が持てないものの、ハルカはとりあえず注意するようにと忠告を促した。

その後、4人はバラバラになって街中をパトロールすることになる。ソウルジェムの通信機能で連絡を取りながら見回りをしていたが、チサトは「リンッ」という鈴の音を聞いてしまう。そして、そこにスズネが現れ、「貴方の名前・・・教えて?」と尋ねてきたのであった。

返事が無いチサトを心配した他の3人は、チサトを探しに向かうが、一足早くアリサが現場に着くと、そこにはスズネと、背後から刃を貫かれたまま息を引き取ったチサトの姿があった。

激昂したアリサはスズネに襲い掛かるが、実力差は大きく、簡単にいなされてしまう。そこに遅れてマツリとハルカが合流する。マツリは目の前の魔法少女を見てスズネであることにすぐ気付く一方、ハルカはスズネを危険と判断し、アリサを回収して一旦立ち去ることにする。

無事、アリサを回収したハルカとマツリ。マツリはハルカに、先ほどの魔法少女が、自分のクラスメイトのスズネであることを告げる。すると動揺している二人の前にキュゥべえが現れ、スズネのことを語り出す。スズネは気配を消すことができ、それが原因でキュゥべえも気づくのが遅れてしまい、理由は分からないが、いつからかスズネは魔法少女を狙うようになったのだという。そして、スズネは魔法少女の天敵「暗殺者」であると語った。


第3話 迷い

アリサは学校で酷い虐めにあっていた。なんで自分ばかりがと思い悩んでいたが、そこにキュゥべえが現れ、魔法少女にならないかと薦めてくるのであった。そしてアリサは「私・・・私もっと強くなりたい!皆を見返したい!!」と願い、契約を行ったのである。

力を得たアリサは、手を出してきた不良グループの子の手を逆に握り潰すほどであり、そのことが彼女の自信となり、態度も横柄になっていく。しかし周りの見る目は変わるばかりか、アリサを恐れて近寄ろうとはしなくなっていた。

そんな時、アリサの目に余る行動を見かねたチサトは、自分も魔法少女であること明かし、本気のアリサに真っ向から対峙した。結果はチサトの圧勝であった。
「どうせ・・・アタシはいつも一人だもん。力があれば変えられるって・・・そう思ったけど・・・結局何も変わらなかった・・・・」と涙ぐむアリサに、チサトはそれは自分自身の問題でしょと説き、この町には他の魔法少女もいることを伝え、その人たちと一緒に戦えばもっと強くなれると言い、アリサに手を差し伸べた。

そんなチサトのことを思い出しながら、チサトはすっかりふさぎ込んでしまっていた。

その頃、ハルカは学校で、何食わぬ顔で登校してきていたスズネを見つけ、問い詰める。どうして殺す必要があったのかと問うハルカであったが、スズネは正しいことをしているのだと言い切る。

「あなたにだって一度くらいはあるんじゃない?誰かを殺したいほど憎んだこと」
その言葉に口を噤むハルカ。そして
「答えられないのなら、あなたに私を止める資格はない。邪魔をしないで」と告げたスズネは立ち去ってしまう。

スズネが帰宅すると、そこにマツリが待っていた。しかしマツリは、早退したスズネのためにプリントを渡しに来ただけだと言う。仲間を殺した自分になぜまだ親切にするのかと聞くスズネに、マツリは、辛いけれどもスズネには事情や信念があり、好きで行っているわけではないのではと答える。そして、できればスズネとは戦いたくないのだと言う。

「次、会った時は・・・命はないわ」
「マツリも、スズネちゃんがもしまた誰かを狙うんだったら・・・全力で止めるよ」

マツリが帰ったあとの部屋で、スズネは自分のポケットから「チサト」と描かれた紙切れを取出し、それをお守りにいれると、胸に抱き、問いかける。

「ねえ、ツバキ。私は間違ってないよね・・・?」


第4話 自責

チサトの葬儀の出席したアリサ、マツリ、ハルカの3人。葬儀が終わると、アリサはハルカと言い争いになってしまう。

―チサトを置き去りにしたけど、もしかしたら生きていたかもしれない
―あの状況ではそれが最善だった
―でも生きていたかもしれない
―魔法少女である以上、危険とは常に隣り合わせだということは分かっていたはず
―だったらせめてギリギリまで戦うとかなぜ出来なかったのか

頭では理解していながらも、アリサの感情は溢れてしまう。

「あんたリーダーでしょ?完璧なんでしょ?勉強も運動も何でもできて信頼されてて!!・・・チサトだって・・・憧れていたのよ・・・」

毅然とした態度を取っていたハルカの目からも涙が溢れていた。

それからしばらくして、先のアリサの言葉に、自分は完璧なんかではないと自暴自棄になりかけていると、ハルカは魔女の結界に迷い込んでしまう、すぐに魔女を見つけ、倒しにかかるも、油断したところを魔女の攻撃に飲み込まれ、ハルカの心の中を露呈させられてしまう。

何をやらせても天才的で、親の期待を一身に背負う姉のハルカに対し、どんなことをやっても敵わないという事実に大きなコンプレックスを抱えていたのであった。

その頃、ハルカを探していたアリサとマツリは、街中で偶然にもスズネを見かける。するとアリサは飛び出し、スズネに襲い掛かる。この攻撃は簡単に受けられてしまうが、スズネはハルカを探していると言う。

ハルカが狙われていると知ったマツリとアリサは、スズネの前に立ち塞がる。


第2巻


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健気に住み込みで働く中学生、すずね。
いつも笑顔で生活する彼女には、裏の顔があった。
それは、魔法少女の暗殺者。
この街の魔法少女が次々と抹殺され、
失意と絶望の最中、
残された魔法少女が進むべき道とは・・・?

第5話 悔恨

ハルカの魔法少女としての願いは「お姉ちゃんを消してほしい」という、あまりにも身勝手なものであった。それはほんの出来心、願いを叶えてくれるわけないと思っていた、また、両親や姉の愛情を理解するにはまだ幼すぎたのだと、彼女はその願いを心に仕舞い込んでいた。

しかし、魔女の攻撃に飲み込まれ、その記憶が呼び起されてしまうと、ハルカは悔恨する。「・・・私だって・・・同じじゃない・・・」 あの時のスズネの言葉に、反論できなかったことを思い出し、ハルカは絶望に墜ちていく。

なんとか魔女を倒したハルカであったがそのソウルジェムはすでに限界に達していた。

一方、スズネと対峙するアリサとマツリはなんとか持ちこたえていた。しかし、スズネは「時間切れ」と言い残し、姿を晦ましてしまう。

探知魔法で涼音とハルカを見つけたマツリは、アリサと急いでハルカのもとへ向かっていたが、その時、スズネはすでに剣を握りしめていた。


第6話 変貌

なんとか間に合ったとマツリとアリサ。スズネを遮り、アリサはハルカにチサトのことで八つ当たりしてしまったことを謝罪する。

だが、その時、ハルカはふらつきながら立ち上がったと思うと、彼女のソウルジェムは砕け散り、魔女化してしまうのであった。目の前の状況が理解できないマツリとアリサに、目の前の魔女がハルカであると告げる。

いつも倒している魔女だろうというアリサに、スズネは冷静に返す。
「・・・そうね、ならあの魔女を殺せばいい。いつものように」
「けど、もし本当なら・・・あなた達は自分の手で仲間を殺したことになる」

依然として戸惑う二人を差し置き、スズネは若干手間取りながらも、魔女ハルカを打ち倒す。そして二人に魔法少女の秘密を告げるのであった。

ソウルジェムが魔法少女の本体であること。そのソウルジェムが濁りきると魔法少女は魔女になり、二度と戻ることはないこと、そしてソウルジェムが砕ければ死ぬこと。

困惑する二人の前にキュゥべえが現れる。

「やあスズネ、また会ったね。これで何人目だい?」


第7話 真実

問い詰めるアリサやマツリに、キュゥべえは淡々と答える。

このシステムはインキュベーター側がら提案したものであるため、当然ながらそれを知らないわけはないこと、宇宙の維持のために魔法少女のシステムを利用していること、教える必要はなく、むしろこういった説明を正しく理解できる子たちはほとんどいないため、わざわざ教える必要はなかったということ

スズネが立ち去ると、キュゥべえはスズネのことをマツリたちに映像として見せ始める。

スズネは幼少期、魔女の結界に迷い込んでいた。そこをツバキという魔法少女に助けられ、彼女に憧れて魔法少女となったのであった。両親を魔女に殺されたものの、ツバキと共に暮らすようになって、スズネはよく笑うようになっていた。ある時、ツバキは亡くなった人の名前を紙に書き、お守りにいれておくというおまじないをスズネに教えていた。自分の名前を書けばずっと一緒にいられるかなと尋ねるスズネに、ツバキは、そんなことをしないでもずっと一緒だと語っていた。

しかし、ある時、ツバキは魔女化してしまうのであった。スズネをかばっていつも戦い、ソウルジェムの浄化もスズネを優先していたただめであった。スズネは魔女ツバキを倒し、決意するであった。自分がツバキを倒して手に入れたツバキの力で、この魔法少女のシステムを止めてみせると―。


第8話 代償

一通り話を聞き終えたアリサはその怒りをキュゥべえにぶつけ、握りつぶしてしまうが、すぐに別の個体が彼女たちの前に現れる、そしてその様子に慄くのであった。

アリサはチサトの家の前まで来ていた。そこに父親が現れ、上がっていくようにと勧められるが、アリサはその場から逃げだしてしまう。

アリサはチサトとの会話を思い出していた。ある時、アリサはチサトにどんな願いをしたのか聞いていた。チサトの願い―それは「父親の更生」であった。絵本作家の父は、次第に本が売れず、出版もされないようになると酒に溺れ出し、一人働きづめであった母親は無理たたって亡くなってしまう。そして父の矛先はチサトへ向かうようになっていた。それでも耐えていたが、限界を超えた時に現れたキュゥべえに、彼女は父の更生を願ったのである。

ずっと重いものを背負ってきたチサトに比べ、自分はたた周りを見返したいからと、それだけの理由で力がほしいからと、そんなことで魔法少女になってしまったことに酷く後悔していた。

その頃、キュゥべえはスズネの前にまた姿を見せていた。

人間の感情に救われているのは事実だが、それははあまりにも厄介で、利用できないのであればそんな非合理的で不要なものでしかない、排除すべきだと語るキュゥべえに、スズネは告げるのであった。

「・・・貴方には一生分からないでしょうね」


第9話 気配

スズネは悪い夢に苛まれていた。心の中では正しいことをやってると思いながらも、どこかに迷いがあり、拠り所はやはりツバキなのであった。

魔法少女の秘密を知ってしまったアリサは、自暴自棄になっていた。どうせそのうち化物になってしまうのであれば、せっかく手に入れた力を使わないでどうするのかと、自分の気に入らない人を殴ることで鬱憤を晴らしていた。

そんなアリサの変貌ぶりに、マツリはさすがに見過ごすことはできず、アリサと話会う。マツリは魔法少女になったことを後悔していなかったのだった。アリサはこれまで目が見えず、周りの人の助けなしでは生活できず、外にもあまり出られなかったのだという。色んな所に行き、色んなものを見て、色んな人と会うのが夢だった、だから後悔はしてないという。

しかし、単純な力という、あまりに不釣り合いな願いを叶えてしまったアリサにとって、それをそのまま自分に当てはめることはできないでいた。アリサの力でも、もっといいことに使えるはずだとマツリに言われると、天乃スズネを殺すことに使うと言い出す。

「ホントは迷ってるんじゃないの?アイツの過去を知って」
その言葉に返せないマツリを見ると、自分一人行くからと、そのままアリサは行ってしまった。

その頃、キュゥべえと共に、スズネを遠くから見つめる魔法少女の姿があった。彼女は、マツリのビジョンをキュゥべえがアリサたちに見せたことを、「わざわざ余計なことを」と言ってのけるのであった。


第10話 覚悟

夜、路地裏を歩いているスズネの前に、アリサが現れる。しかしスズネは、魔法少女の秘密を知ってしまった以上、すぐにアリサを殺す理由は無くなったと立ち去ろうとする。 しかし、スズネにどんな理由があろうと、自分の大切な人達を殺したことに変わりないとアリサは襲い掛かっていくのであった。

アリサは全力で攻めるも、スズネは息ひとつ乱さず余裕を見せていた。その折り、スズネはアリサに問い始める。

自分たち魔法少女にとって一番いい「死に方」はなんだと思うか。このシステムを知った上で、アリサはどう思うか。その感情が新たな魔女を生む種となり、絶望に打ちひしがれてまた自分たちと同じような魔法少女が生まれるこの負の連鎖で、魔法少女という存在がなくなることはない。だったら、その数を減らすしかない。

あまりに身勝手な考え方にも思えるが、スズネは続ける。

魔女は元々魔法少女なのだから、魔女を殺すことは人を殺すことと同義であるはず。じゃあ、今アリサたちがやっている魔女退治と、自分のやっている魔法少女狩りは本質的に何が違うのか― 自分はこれ以上そういう人を増やしたくない。そのためなら悪人で良い。人殺しと呼ばれようと、構わない。

それが天乃スズネの覚悟であった。

その頃、マツリは一人悩んでいた。自分はどうすればいいのか。加えて、スズネのビジョンを見てから、なにかが引っかかっていた。なにか大事なことを知っているはずなのに思い出せず、マツリの脳内をかき乱していた。

酷い頭の痛みに耐えながら、必死に何かを思い出したマツリの前に、一人の魔法少女が姿を現し、マツリに告げた。

「ただいま―」


第3巻


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いつも笑顔で生活する女子中学生、。
すずねには、裏の顔があった。それは、魔法少女の暗殺者。
彼女に対峙する新たな魔法少女の登場により、
今までに見せたことのない苦悩を露にする。
すずねがいざなわれる「結末」とは―。

第11話 暗黒

過去の記憶を思い出したところに現れたのは、マツリの双子の姉であるカガリであった。カガリは消したのは「記憶だけ」にしておいた、このゲームが終わったらきっとまた元の暮らしに戻れるからと告げると、スズネたちを止めに向かおうとするマツリを魔法で眠らせてしまう。

そばにいたキュゥべえにカガリは「もうこれ以上引き延ばすつもりないから」と答えていた。

一方、アリサとスズネの戦いはいまだ続いていた。しかし、圧倒的劣勢に立たされていたアリサは、自身の力を限界まで引き出す「最大出力(フルブースト) 」を使用する。極めて魔力の消耗が激しい技のため、時間との戦いと、全身から血を吹き出しながらスズネに襲い掛かっていく。

命を懸けてまで飛びかかってくる攻撃に、さすがのスズネも倒れ、斬られることを覚悟した時、アリサは背後からカガリによってソウルジェムごと貫かれてしまう。

その姿をみたスズネは一瞬、マツリかと思ったが、すぐに知らない誰かであると気づく。


第12話 再会

自分のことを忘れたの?と聞くカガリに、スズネには目の前のカガリが誰なのか全く見当がつかない。すると、カガリは「ツバキのことは・・・覚えているのにねぇ?」と言い出す。

そして指をパチンと鳴らすと、カガリはスズネに映像として記憶を見せつけるのであった。

それはカガリ、マツリがまだ幼かった頃のこと。ツバキはマツリたちの家に、シッターとして働いていた。ツバキは亡くなったマツリたちの母親代わりであり、彼女たちの支えであった。
しかし、ツバキは、身寄りの無いスズネを魔女の結界で保護して以降、スズネの面倒を見るために仕事を止めることになり、スズネたちの前から去ってしまっていた。

何も言わずに去っていったツバキを探しに行こうとするカガリであったが、マツリは一緒に行くと言って聞かなかった。この時、マツリの目は見えておらず、危ないからという理由でカガリはこれを拒んでいた。するとそこにキュゥべえが現れる。

魔法少女として契約したカガリの目は、見えるようになり、一緒に街へツバキを探しに出ていくのであった。そんな時、街中でツバキの鈴の音を聞く。間違いないと思ってその音の元へ向かうと、その音の主はスズネであった。

ツバキのお守りを身に着けたスズネを見たカガリは、ひどく動揺した。


第13話 記憶

回想は続く。

カガリはキュゥべえから、あの町で見かけた子がツバキを殺したのだと聞かされる。魔法少女はいずれ魔女となり、その魔女を倒すのが魔法少女の役割なのだから、スズネはただその役割を果たしたに過ぎない。ツバキは結果としてカガリやマツリではなく、スズネを選んだが、それは二人を巻き込まないようにとの配慮であった―が、幼心にツバキの想いは通じず、ツバキがいないという現実に落ち込むカガリであった。

しばらくして、カガリはキュゥべえを呼び出し、「ツバキが味わったのと同じ苦しみを与えたい」と伝える。「ひとりぼっちの、絵本の魔女みたいに、もっともっともっと苦しんで魔女になってもらうんだ・・・」 それがカガリの魔法少女の対価としての願いであった。

ここまでの話を聞いたスズネは混乱した。目の前のスズネの言っていることが信じられずにいたが、カガリは続ける。
ツバキを殺したスズネと、スズネを選んだツバキに復讐するために契約し、すずねの頭の中を弄ったのだという。しかし、すずねはすっと閉じこもっていたため、記憶を消すだけでは物足りなかった。

カガリはスズネの意識と記憶を改竄し、暗殺者へ仕立てたのである。スズネに魔女狩りをさせることは、キュゥべえにとってエネルギー回収が不可能になる最悪の自体であったが、スズネは自分やスズネたちから得られるエネルギー量が他の魔法少女と比べてもかなり多いことを利用し、キュゥべえに協力を持ちかけていた。自分は、黙っていてくれさえすれば魔女になってあげるからと。

「やめて!!」 絶望交じりの顔で、スズネはカガリの言葉を遮る。彼女が望んでいたのはこの時のスズネの顔そのものであった。

スズネは追い込まれていく。魔女を倒すこともできず、ふさぎ込んでいた自分、もう誰も傷つけたくないと思っていたはずなのに、”作られた”正義を振りかざして何人もの命を踏みにじってきた― 


第14話 決裂

絶望に墜ちそうになりながらも、カガリの思い通りにはさせないとスズネは立ち上がる。 しかし、ソウルジェムも濁りきったスズネにカガリを倒すだけの余力はなく、すぐ地面に伏されることになる。魔女になるのが嫌ならすぐに殺してあげると、カガリは刃を振り下ろそうとするが、そこにマツリが助けに現れる。

せめて魔女になる前に死のうとするスズネだったが、マツリはとっておいたグリーフシードをスズネに渡す。
「そんなこと言っちゃだめだよ、このままスズネちゃんを死なせたりしない。魔女にもさせない。きっと・・・きっとツバキもそう言うと思う。」

そう伝えて、今度はカガリを説得しようとする。しかし、カガリは聞く耳を持たない。ただみんなに仲良くしてほしいだけのマツリと、ツバキを奪ったスズネを決して許せず、絶望に追い込みたいカガリは衝突してしまうのであった。


第15話 隔絶

マツリから受け取ったグリーフシードでソウルジェムを浄化したスズネは、マツリに加勢する。しかし、カガリの相手の記憶や意識を操作できるという能力の前に翻弄されてしまうのであった。

そこでマツリは自分の探査魔法を用い、スズネにカガリの位置を伝えることでサポートを行う。これにより逆にカガリを追い込んでいく。

そしてマツリはカガリを再び説得する。
「やっぱりもうやめよう・・・こんなの・・・何の意味があるの?マツリは・・・これ以上カガリと戦いたくないよ・・・」
しかし、やはりカガリはここでも我を通そうとする。
「むかしからそう・・・思ってもないこと言ってごまかそうとする。ホントは私なんかいなくなっちゃえばいいって思ってるくせに」

「もういいよ、聞きたくない」
「・・・あーあ、マツリのおかげで全部台無しになっちゃったじゃない」

ようやく話を聞いてくれたかと思いきや、その直後、カガリは思いがけないことを言い出すのであった。自分の魔法は、スズネに対してやったように、自分の記憶もいじることができる―だから、自分にとって最悪な話を作って流し込めば・・―今すぐにでも魔女になれる

「・・・バイバイ」
その言葉を残し、カガリは魔女化してしまうのであった。

説得しきれずに、自分の姉が目の前で魔女になってしまったマツリは、その現実に顔をうずめていた。ツバキを殺すしかなったあの時の自分と重ねたスズネもまた、マツリには戦えなど言えるはずもなかった。

しかし魔女は動き出す。そしてその圧倒的な手数の前で遅れを取ってしまったスズネの目の前で、マツリは魔女に飲み込まれてしまう

「・・・これが・・・貴方の望んだ結果なの?」
「日向・・・カガリ、貴方が私の・・・最後の仕事よ」
スズネは決意を固めたのであった。


第16話 収斂

*副題の読みは「しゅうれん」。縮めること。収縮。


ツバキの持っていたお守りを握りしめると、それを剣に変化させ、魔女に立ち向かっていく。
目の前の魔女を切っても倒せないことを理解したスズネは、タイミングを見計らって魔女の体内に自ら取り込まれていった。

そこでみつけたカガリはもはや人の形をしていなかったが、そこからは、どこまでも暗く、悲しい感情がスズネに流れ込んできていた。

「貴方が言ったように・・・確かに私がいなければ・・・こんな結末にはならなかったかもしれれない」
「・・・私には魔法少女の仕組みを止めることは出来ない。けど、こんな悲しい連鎖は・・・もう終わりにしましょう」
スズネはツバキにもう一度だけ力を貸してと祈り、剣を振り落す。

スズネが気が付くと、魔女は消滅しており、目の前には倒れたマツリ、そしてその横にはカガリが落としたグリーフシードが残されていた。

「・・・それをどうするつもりだい?」
現れたキュゥべえはスズネに尋ねる。スズネのソウルジェムも、マツリのソウルジェムもすでに限界近くまで穢れが溜まっている。仮にマツリを助けたとしても、カガリやスズネが死んだと知れば、その反動でいつ魔女になってもおかしくない。果たしてそれは君の本意なのかと。

しばらしくて、マツリは自分の部屋のベッドで目を覚ます。スズネのことが気がかりであったマツリは、部屋を飛び出すと、今にも倒れそうなスズネに追いつく。

「どうして・・・来てしまったの? 私のことなんて忘れて・・・生きていけばいい。それが貴方のためよ」
その言葉にマツリは反論する。
「そんなこと出来ないよ!!だってスズネちゃんはマツリの・・・大事な友達だもん」

唇を噛みしめながら、それでも忘れないのであれば・・・と、最後にカガリから奪っていた魔法でマツリの記憶を書き換えようとする。

しかしすでに限界のスズネはその場に倒れ込んでしまう。そのスズネを抱きかかえたマツリは泣きながら訴える
「・・・全部忘れろだなんて・・・そんなこと言わないでよ・・・マツリはアリサ達のことも、カガリのことも、ツバキのことも・・・スズネちゃんのことも・・・もう忘れたくないよ」

その言葉に、スズネは最期の力を振り絞って答える。
「・・・だったら・・・約束して・・・何があっても・・・最後まで・・・生きるって・・・」
「・・・私・・・今まで・・・取り返しのつかないこと・・・してきた・・・」
「それでも友達で・・・いて・・・くれる・・・?」

「当たり前だよ、ずっと・・・ずっと・・・友達だよ」
マツリの言葉に安心したスズネは、穏やかな顔をしながら、自分の手の中でソウルジェムを砕いたのであった。


しばらくして、キュゥべえはマツリに語りかけていた。
あれほどの絶望によく耐えたものだと。だが、マツリは返す。平気なわけはない―でも約束したから―マツリはどんなことがあっても最後まであきらめない―

マツリはスズネから譲り受けた、あのお守りを手に、友達に思いを馳せる。

その決意に満ちたマツリの姿を映し、本作の幕は閉じる。












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