[あらすじと考察] 魔法少女まどか☆マギカ [魔獣編]


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こちらではスピンオフ作品である「魔獣編」のあらすじと考察をまとめています。TVアニメ本編と、劇場版[新編]叛逆の物語を繋ぐストーリーが展開され、劇場版でキュゥべえがほむらを利用して「円環の理」を観測しようとしたのかが分かるものとなっています。ネタバレを含むため、閲覧にはご注意ください。


「魔獣編」の概要

魔法少女まどか☆マギカ 魔獣編は、ハノカゲによるスピンオフ作品。全3巻。時間軸としては、テレビアニメ本編の最終話で鹿目まどかが円環の理という概念だけの存在になり、世界を改変させる直後から、劇場版[新編]叛逆の物語において、キュゥべえによって暁美ほむらのソウルジェム内部に結界世界が構築される前までを描いており、アニメ本編から連続したストーリーが展開されている。

この世界では、魔法少女達は魔女の代わりに魔獣と戦っており、唯一、鹿目まどかの記憶を残している暁美ほむらの苦悩と葛藤が彼女の視点で描かれる。

また、これまでの外伝・スピンオフ作品と異なり、アニメ版の監督である新房昭之、魔女のデザインや空間設計を担当した劇団イヌカレーも制作に携わっているのも特徴と言える。


本作で登場する「グリーフキューブ」と「魔獣」

魔法少女として契約すると、魂は宝石状のソウルジェムへと変えられる。魔法少女が魔力を使用したり、時間が経過するとこのソウルジェムには穢れが溜まっていき、最後には魔力が尽きてしまい、魔法少女は魔女へと変異してしまう。(*魔女が存在しない世界では、円環の理に導かれ、魂が浄化される)。

この穢れを取り除くことができるアイテムとして登場するのが、魔女のいる世界ではグリーフシード、魔女のいない世界ではグリーフキューブと呼ばれる結晶である。本作で魔法少女たちは魔獣と戦い、魔獣が落とすグリーフキューブを集めている。

グリーフキューブの正体は人々の「感情エネルギー」である。これが増えすぎると危険なため、魔獣たちは人々から「感情エネルギー」を集め、それを安定したグリーフキューブへと変えているのである。エネルギーを吸われた人間は廃人になってしまうというデメリットはあるものの、魔獣は人を殺めることはなく、本来であれば地上のバランサーとしての役割を担っており、討伐する必要はないはずであるが、魔女が存在しない世界では、キュゥべえたちインキュベーターのエネルギー採取方法は魔獣を討伐する際のエネルギーを回収する方法(*注釈) に変わっており、願いを叶える代償として魔法少女と戦わせていることになる。

[注釈]
アニメディア (2011年6月号) より。本作では魔法少女がグリーフキューブを使用し、穢れを取り除いたあとの残りをキュゥべえに渡す描写もあるため、魔獣を倒した際のエネルギーではなく、グリーフキューブ自体を回収しているようにも推測できる。

魔法少女まどか☆マギカ [魔獣編] 第1巻


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第1話

物語は、鹿目まどかが「円環の理」という概念だけの存在になり、世界を改変した直後から始まる。

鹿目まどかは暁美ほむらと最後の会話をしていた。
「これからのわたしはね、いつだってどこにでもいるの。だから見えなくても、聞こえなくても、わたしはほむらちゃんの側にいるよ」
「まどかは・・・それでもいいの?私はあなたを忘れちゃうのに?まどかのこと、もう二度と感じ取ることさえ出来なくなっちゃうのに?」
「ううん、あきらめるのはまだ早いよ」
まどかは自分の髪を結んでいたリボンを解き、ほむらに手渡す。
「ほむらちゃんはこんな場所までついてきてくれたんだもの。だから元の世界に戻っても、もしかしたらわたしのこと忘れずにいてくれるかも」
「・・・大丈夫。きっと大丈夫・・・信じようよ」
その言葉を最後に、まどかの姿は消えてしまう。

魔女がいなくなった世界の見滝原では、巴マミをリーダーとて、美樹さやか、佐倉杏子の3人がパーティを組み、毎夜のように出現する魔獣と戦っていた。三人で協力すると決めていたものの、さやかと杏子はことあるごとに衝突していた。二人に手を焼く巴マミであったが、それ以上に、日増しに濃くなっていく瘴気と、 最近出現するようになった大型魔獣のことを危惧していた。

ある日、さやかは親友の仁美から、自分も思いを寄せている上条恭介に、仁美が告白をしようとしていること、そして出し抜くようなことはしんたくないからと、1日だけ待つことを告げられる。

そのことに同様したさやかは、直後の魔獣との戦いで集中を欠き、マミとさやかの足手まといとなってしまった。マミから、魔獣との戦いは、自分自身の心の戦いでもあることを聞かされたさやかは、恭介のことを想い悩むも、さやかの悩みに気づいていた杏子から、魔獣に仁美の感情を食べさせてしまえばいいと助言を受ける。自分の利益しか考えない杏子の発言に、二人はまたしても衝突してしまう。

その戦いの最中、杏子はさやかの濁りきったソウルジェムを見て、動揺をしてしまい、一瞬のスキを付いたさやかに負けを喫してしまう。ソウルジェムのことを問いただそうとする杏子であったが、これからは二度と構うなと告げ、さやかは立ち去っていっていく。




第2話

仁美から相談を受けたその日の帰り道、さやかは魔獣と遭遇し、その際に仁美を目撃する。 なんとか魔獣を倒し、その場を去ろうとしたが、直後、仁美が恭介と会話している場面を見てしまう。1日待つと言ったはずの親友の仁美が、まさか自分を裏切ったのではないかと一瞬疑ってしまったものの、自分を戒め、マミと杏子の元へ向かう。


マミと杏子は集合場所で1時間以上待っていた。そこでマミは杏子に昨晩起きた出来事について問い詰める。マミはすべてを知っていた。また、さやかが自分たちに隠れ、一人で魔獣討伐を行っていたことを杏子に伝えた。本来なら止めるべきだが、さやかの努力を無為にできなかったと。そして持っていたグリーフキューブを杏子に預け、すぐにさやかに謝罪し、自分の下に連れてくるように命じた。それにしぶしぶ答え、さやかを探しに杏子が向かうと、直後、マミは魔獣から襲撃を受ける。

その頃、さやかは魔獣と対峙していた。いくら斬っても倒しきれず、苦戦するさやかは、魔獣は一般人を標的にしているのではなく、自分を標的にしていることに気づく。 自分の感情を食べさせてしまえば、恭介への想いを断ち切れると考えたさやかは、自身を差し出そうとするが、そのとき杏子が現れ、さやかを連れて戦闘から離脱する。

何も言えずにいた杏子に、さやかは再び先ほどの魔獣の下へ戻ろうとするが、そこにキュゥべえが現れ、マミが大物魔獣と戦っていることを告げられる。駆けつけた二人はマミに加勢し、もう一歩のところまで魔獣を追い詰めるが、トドメをさそうとしたさやかが魔獣に捕らえられてしまう。

杏子とマミも張り付けられ、身動きが取れない中、必死に呼びかける。
「バッカヤロー!!魔獣ごときにてめえの感情食わせてんじゃねえ!―あんたが廃人になっちまったら誰とケンカすればいいんだよっ!―」
「―あんたの親友を悪くいったこと・・・・・本当に・・・ごめん」
「―羨ましかったんだ。あたしだって・・・さやかと・・・・・・友達になりたかったんだ」
感情が魔獣に食べられながらも、さやかも本心を語りだす
「―あたしの方こそ、熱くなってごめん!―仲直りしたいの―あんたもあたしの友達だから」
最期にそう言い残したさやかは、残った魔力を振り絞って攻撃に転じる。

さやかは最期の一撃にすべての力を使い果たし、円環の理に導かれて消滅してしまう。
「・・・バカ、やっと友達になれたのに・・・」

直後、二人の前に暁美ほむらが現れる。
「・・・・・・まどか・・・」彼女は一言だけ呟いた。




第3話

後日、見滝原中学校に転校してきたほむらは、屋上でマミや杏子と、近頃見滝原に現れた大物魔獣について話し、注意を促されていた。(*杏子は忍び込むために制服を借りて着替えている)魔獣を順調に討伐していたほむらであったが、まどかが既に存在せず、唯一自分だけが覚えているという現状に寂しさを感じられずにはいられなかった。

ある時、キュゥべえはほむらの前に現れ、鹿目まどか、そして希望と絶望の相転移よって生み出されるエネルギーの利用、時間操作の魔法に興味があることを告げていく。
しかしこの世界においてこれらを観測する術はなく、ほむらも今となっては時間操作の能力を使うことはできなくなっていた。


直後にほむらは、以前マミが話していた大物魔獣に遭遇してしまう。
圧倒的な力で一気に魔獣の群れを倒したと思えたが、ほむらは思いもよらぬ反撃を受ける。
倒されると思ったものの、魔獣の群れはほむらにとどめを刺すこともせず、不可解な行動を取って立ち去っていく。


マミと杏子が駆けつけると、傷だらけで倒れたほむらの姿だけが残っていた



魔法少女まどか☆マギカ [魔獣編] 第2巻


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第4話

ほむらが目覚めると、そこはマミの部屋だった。マミから一人で戦ったことを咎められ、部屋から出ていこうとしたそのとき、思いもよらないことを言われる。
「今から私の前で魔法少女に変身してもらえない?」
突然のことに動揺するも、渋々変身を行うことにするほむら。
「・・・問題ないのなら良いわ。次は武器を出してみて」
なぜこのようなことを言われるか分からなかったが、マミの言うままに武器を出そうとすると、今度は武器を出すことができなかった。

マミは告げる。恐らく魔獣に魔力を持っていかれていると。
ほむらのソウルジェムを見ると、輝きが鈍くなっていた。それは魔力を消耗したときの濁りとは明らかに異なるものであった。そしてほむらは気づく。奪われたのは魔力だけではない、まどかの形見であるリボンを奪われていることに。

すぐにでも魔獣を追いかけたいほむらに対し、マミはこれを制止する。しかし埒があかないと判断したほむらは、残っていたわずかな魔力で、記憶操作の魔法を使用し、その場を去ってしまう。再びほむらの前に現れたキュゥべえはまたしても時間操作の魔法に対しての興味を匂わせる。 しかし、ほむらはこの改変された世界において、武器は弓に変化し、記憶操作魔法を操る魔法少女に変わっていた。ほむら自身でさえ、なぜ魔法が変化してしまったのか、変化したとすればなぜ記憶操作の魔法になったのか分からずにいた。


翌日、マミは昨晩の出来事を反省していた。自分は先輩に向いていないのではないのか、そんなことを考えながら学校に向かおうとした時、部屋で一瞬魔獣の瘴気を感じる。しばらくしてほむらはキュゥべえを肩に乗せ、街中で魔獣を探していた。相変わらずほむらのソウルジェムの輝きは失われたままである。キュゥべえによると、グリーフキューブはあくまで行使した魔力による穢れを取るものであり、ほむらが奪われたのは魔力の絶対量、つまりソウルジェムの本質が大きく損なわれている状態であり、グリーフキューブでの回復は意味がないのだという。

途中、ほむらはマミとすれ違うが、マミは何も言わずに立ち去ってしまう。杏子はマミと駅のホームにいた。さやかが消えてから、ちょうど1ヵ月。マミは唐突に杏子に問いだす。

もしも、死んでしまった人が目の前に現れたらどうするか―。突然の質問に、マミを心配する杏子だったが、マミは明日以降は効率を上げるために別行動を取ろうと告げて立ち去ってしまう。その時、マミが立ち去るっていくのを見計らったように仁美が現れる。


仁美は杏子達の話を盗み聞きしていた。そしてさやかのことを知ってる杏子に、本当のことを教えて欲しいと告げる。最初、はぐらかしていた杏子であったが、真剣な仁美の態度に事実を告げる。仁美は納得したような顔をして立ち去ろうとした時、突然2人の前にさやかが現れる。

「よっ、お二人さん、・・・久しぶり?」
それはまさしく1ヵ月前に消えたはずのさやか、そのものであった。




第5話

目の前の光景が信じられない二人に、さやかは呆気らかんとした様子で話し始めた。自分でも驚いたことに、突然別次元に飛ばされたと思っていたら、1ヵ月も経っていたようだと。そこに仁美が詰め寄り、いきなり謝罪し、困惑するさやかに対して語り出す。

告白すると打ち明けたあの日、一日だけ待つという約束を反故にし、恭介と会ってしまったこと。 しかし、それは本当に偶然であり、今もまだ告白はしていないこと。だが、それに対するさやかの反応は、およそこれまでのさやかのそれではなかった。

「仁美は自分のせいであたしが死んだって思ってたんでしょ?」
「仁美にひとつ、あたしからの提案なんだけどさ、恭介をあたしにちょうだいよ―ねっ、それが誠意ってもんじゃない?」

離れたところで聞いていた杏子が割って入る。しかし、さやかは、友達でもないやつは黙っていてよと杏子を挑発し始める。これまで知っていたさやかとはまるで違う様子に困惑してる二人に対し、さやかはいきなり攻撃を仕掛けてくる。するといままで相対していたさやかが魔獣のような姿に変貌してしまう。だが、この姿もこれまでに見た魔獣のそれとは違い、杏子は魔獣なのかどうかすら確信ができないでいた。

すると、さやかだったその魔獣は急にその場から立ち去ってしまう。杏子は仁美に、今日の事は忘れるよう告げ、魔獣を追うことにする。ほむらは見滝原を一望できる丘の上の公園で、ベンチに腰かけていた。そこに杏子が現れ、魔獣の手掛かりが見つかりそうだと告げる。ほむらが杏子に近づこうとしたまさにその時、マミが止めに入る。

「今すぐ佐倉さんの側から離れて!そいつは佐倉さんじゃない・・・魔獣よ!」
その瞬間、杏子は魔獣の姿に変わり、気づくとマミとほむらは大勢の魔獣の群れに囲まれていた。二人は協力して魔獣を倒しにかかるが、その戦いの最中、ほむらは違和感を覚える。さきほどまで杏子の姿を使用してた魔獣が使ったのは、「時間操作」の能力かもしれない―と。 困惑しながらも、何か手が無いかと考えるほむらに、テレパシーで誰かが語ってくる。

「私が手伝ってあげましょうか?」

そのテレパシーからの指示を受け、ほむらたちは魔獣を撃退することに成功する。そこに本物の杏子が現れるが、夜も更けているということで一度解散することに。

その帰り際、ほむらは目を疑う。

そこに現れたのは、彼女が追い求めていた鹿目まどかであった。




第6話

ほむらは気付く。「まどか・・・じゃない・・・」 するとそのまどか(以下:魔獣マドカ *正式名称)は、あまりにも素直に答えた。自分は本物のまどかではない、ほむらたちが「魔獣」と呼ぶものであると。

すぐに臨戦態勢に移ろうとするほむらであったが、ほむらが奪われたはずのまどかの形見であるリボンを見せられ、落ち着きを取り戻す。魔獣マドカはほむらにリボンを返し、ほむらから力を奪ったあの大物魔獣を倒してほしいと伝える。


魔獣マドカが言うには、自分たち魔獣は、人々の生み出す感情エネルギーを増やさないように生み出されており、この地上を見張っているといたが、ある日とても危険な力の気配を感じ、力の源を特定すると、ほむらに行き当ったという。そしてほむらの感情エネルギーが、地上にとって不都合だったため、大物魔獣を使ってほむらの力を奪ったのだと。それを聞いたほむらは人型の魔獣について尋ねる。


この世界では、魔獣たちは集めた感情エネルギーを別の小さなもの、つまりグリーフキューブへと変換していた。しかし、ほむらから奪った感情エネルギーはグリーフキューブへと変換することができず、しかもそのエネルギーは魔獣の体の中で膨張する一方で、次第に魔獣は本来と違う性質のものへと姿を変えていってしまった。そして溢れ出た感情エネルギーによって、周りの小さな魔獣たちも飲み込まれてしまった。

その結果、人間の形をした魔獣が誕生するに至ったのである。ほむらの力を奪った大物魔獣は、ほむらの力の消費に専念するため、姿を晦ましてしまっていた。魔獣マドカの望みは、大物魔獣を倒すことで、力をほむらに返すことだという。

一方的な後始末の押し付けに、困惑するほむらであったが、魔獣マドカを自宅へ連れて帰ることにした。魔獣マドカを見たキュゥべえによると、魔獣であることは間違いないが、ほむらの魔力が強く感じられるという。魔獣が人の形に変わったのは、ほむらから奪われた魔力によるもので、記憶操作魔法を利用し、顔見知り人物に錯覚させている可能性がある。その結果として、まどかの姿を知らない者でないと、魔獣マドカの姿をまどかと認識できていないようである。

キュゥべえの話にある程度納得はしたものの、マミと戦ったときに感じた時間操作のような能力は、この世界で一度も使えた試しがなく、どこか引っかかるほむらであった。さらに続けてキュゥべえは、魔獣マドカから呪いの力を感じるという。あらゆる感情を消化する魔獣であるはずが、なんらかの要因で消化不良となった呪いエネルギーが体内で蓄積され、これが今回の魔獣の変異を起こした一因かもしれないとのことであった。


ほむらは魔獣マドカの存在を他言しないよう、キュゥべえを口止めし、翌日、ほむらはマミ、杏子と昨夜の出来事について話していた。魔獣マドカの存在のことは伏せたまま、昨日現れた魔獣たちは記憶操作魔法で作られた魔獣であることをほむらは伝え、自分はキュゥべえと協力して変異魔獣についてもう少し調べたいと、魔獣討伐はしばらく二人に任せると伝える。二人に隠れ、ほむらは魔獣マドカと共に、大物魔獣を捜索していた。

結局見つからずに時間は過ぎて行ったが、1週間ほど経ったある時、魔獣マドカはほむらに尋ねる
「わたしのことって・・・正直どう思う?―わたし、ほんものじゃないけど「まどか」なんだよ。ほむらちゃんはわたしを見ても、一緒にこうやって過ごしても全然なんとも思わないの?」

戸惑いながらも、所詮偽物のまどかだからと言い放つほむらであったが、魔獣マドカは核心を突いてくる。ほむらが何も感じないのは、心が欠けてしまったからだと。感情を奪われようと、まどかへの気持ちは何一つ変わらないとムキになるが、心はこもらない。


魔獣マドカは続ける。
ほむらは、まどかの存在しない世界、まどかのいないことが当たり前の世界に馴染んでしまったら、いつか自分までまどかのこと忘れてしまうのではないか、まどかがいないことを認めてしまうことをずっと恐れているのであると。自分のまどかへの想いが欠けていると告げられたほむらは絶望する。

「まどかは・・・わたしの・・・・・・・・?」

ほむらは自分を疑う。地上にいるすべての人間の記憶を書き換えるだなんて到底無理な話ではあるが、 自分自身の記憶を書き換えることは可能である。まどかを信じる気持ちが消えるはずはないと思っていたが、日々冷めていくことが実感され、まどかと過ごした思い出、魔女のいた世界、魔獣マドカでさえ、真実など一つもなく、全部自分が自分の都合で創り上げた世界なのではないか

自暴自棄に陥る中、魔獣マドカといる場面をマミ、杏子に目撃されてしまう。マミ達からは、魔獣に憑りつかれたようにしか見えないが、ほむらはこれが「まどか」であると語る。そして告げる。自分はキュゥべえと契約した記憶など存在しない―と。

なにも信じられなくなったほむらは、魔獣マドカに願ってしまう。
「・・・マドカ・・・・・・私を魔法少女から解放して」
魔獣マドカはほむらのソウルジェムに口づけをし、そのままほむらと一緒に姿を消してしまう
「マミさん、杏子ちゃん、ごめんね」



魔法少女まどか☆マギカ [魔獣編] 第3巻


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第7~8話

ほむらは魔獣マドカに全ての感情を捧げてしまっていた。ソウルジェムは輝きを失い、希望にも絶望にも転じない、ただの石ころに成り果ててしまった。それに対し、キュゥべえは愚かと一蹴する。魔法少女に希望を放棄されてしまっては手の打ちようもないと。

数日後、マミと杏子はいまだほむらに会えずにいた。心配しつつも、魔獣に心を食べさせたことに呆れていた杏子であったが、ふと思いつく。本当の願いを思い出せば、ほむらも希望を取り戻すのではないのではないだろうか。そんなことを語っていると、いつの間にか二人は大勢の魔獣に囲まれていた。

しかし異変に気付く。普段とは違って攻撃してこないばかりか、一体の人間が大勢息絶えて横たわっている。感情を食べ、廃人同様にすることはあっても、人を殺すことがない魔獣の行動では無かった。そこに魔獣サヤカが現れ、戦闘になる。杏子がこれを引き付け、マミは瘴気の中心へ向かっていく。

だが、マミも突然現れた魔獣杏子と魔獣マミに襲われてしまう。その後、苦戦しつつも杏子はなんとか打ち負かし、マミもその後現れた魔獣マドカの力を借りて見事退けることに成功する。その時、大物魔獣が姿を現す。それは膨大な負のエネルギーに支配され、ただ機械的に地上の生命すべてを狩りつくす、災厄の権化であり、魔獣ではあって魔獣ではないものであった。

魔獣マドカは二人に避難するように告げるが、直後に魔獣から延びた触手に捕えられてしまった杏子は息絶えてしまう。マミは応戦し、魔獣マドカを逃がそうと奮闘するが、ほんの一瞬で二人とも倒されてしまう。離れたところにいたほむらが見たものは、無残に敗れ、空から落ちてくるまどかの姿と、地面に横たわるマミ、杏子の姿であった。


その瞬間、ほむらは確信する。今、目の前にいる魔獣、魔女と呼ぶべきその存在自体がまどかが存在していた証明であると。


事の起こりは、まどかによって世界が改変されて間もない頃にまで遡る
全ての始まりはひとつの魔法・・・
役目を終え失ったはずの過去の力・・・
ひとつの「盾」の存在から始まった




第9話

改変された世界に降り立ったほむらは、これまで使用してた「盾」が起動しなくなっていることに気づいた。まどかを救うために幾度となく用いた魔法ではあるが、魔女の呪縛から解き放たれたこの世界では必要ないと、盾を放り捨てた。

しかし、その瞬間、ほむらは盾の中の空間を偶然にも発見してしまい、迂闊にもその中に立ち入ってしまう。そこでほむらが見たものは、まどかが世界を書き換える間際に見た、願いと引き換えに背負った全ての宇宙の呪いそのものであった。仮に、今見たものが魔女であるならば、永遠に魔女と戦う願いを叶えたまどかもまた、そこに存在しているのかもしれない。

しかし、ほむらは自身の記憶を書き換えて忘れることにする。さきほどの存在を、まどかが守った世界と接触させることは絶対にしてはいけない。自分の願いは「まどかを守る」こと、自分はまどかを守る盾なんだ―。


魔獣の変異の原因は、吸収された盾の力によるものであった。ほむら自身の記憶改竄が裏目に出てしまった結果であった。瓦礫に押し潰され、息絶えそうになったほむらの前にまどかの姿が現れる。

「大丈夫だよ、ほむらちゃん、もう大丈夫―わたし言ったでしょ?「ほむらちゃんにはわたしがいるもの」って・・・」

それだけを告げてまどかは消えてしまう。次の瞬間、ほむらの意識は自身のソウルジェム内部の世界にいた。魔獣マドカによって奪われていた力が、肉体が破壊されることでほむらに戻ったのである。そこにはもう一人のほむらが居た。そしてすべてが明らかにされていく。。

彼女は魔獣に奪われた暁美ほむらの魔力の一部であり、感情を奪ったのも変異魔獣に対抗する力を得るために彼女が指示していた。また、ほむらのソウルジェムには「時間操作の盾」「記憶を操る弓」の二つの魔力が備わっているが、記憶操作は最後にまどかと別れた時、まどかが願った奇跡「互いを忘れまいとする強い思い」が形となり、形見であるリボンを通してほむらに引き継がれた力であり、「記憶を操る力と魔獣を撃ちぬく力」が新たな暁美ほむらの力となっていた。

そして、目の前にいるもう一人のほむらこそがその新たな奇跡によって誕生した力であると。この「新たな力」はほむらのソウルジェムの中を仮住まいとして存在していたが、ある時、本来の魔力に干渉を始めてしまっていた。盾の中の奥深くに、仮に魔女がいるとすれば、いつか孤独に耐えかねたほむらは、まどかを求めて再び盾を開放するに決まっている。その許されない事を阻止するためにほむらは自身の記憶を改竄したのである。


ほむらは自分の力を使えば、もう一度まどかに会えるかもしれないという誘惑に、一瞬躊躇したものの、大物魔獣を倒すことを決意する。
「私の願いはまどかを守る事だから」

全ての力を取り戻したほむらには、魔力と、まどかへの想いが溢れていた。そして、その弓は魔獣を貫き、核となっている「盾」が露わになる。

寸前のところでほむらは魔獣に捕えられるが、一瞬、まどかと思われる声が聴こえたと思うと、その手は盾に届き、破壊を成功させる。そして、時間は巻き戻されていく。ほむらに後悔はなかった。

「私自身さえ、強く熱く望むのなら・・・いつか・・・どんな奇跡だって・・・」


場面は物語冒頭へと遡る。
気付くと、目の前にはマミと杏子、そして右手にはまどかの形見のリボンがあった。
「・・・まどか」
そう呟くほむらに、「まどかって・・・誰だよ?」と杏子が返す。


しばらくして、ほむらはキュゥべえに魔女のこと、そしてまどかのこと、改変される前の世界について語っていた。証明しようがないと聞き流すキュゥべえをよそに、ほむらは今日も魔獣を討伐しに向かう。残されたキュゥべえが取り出したのは、あの「盾」の破片であった。

「ふうん・・・どうやら憶えているのは僕だけだったみたいだね。時間を操る者の武器や身体に触れている間は同じ時間を共有出来る・・・だったかな?」
「まさか本当に時間遡行の魔術なんてものを扱えたとはね」
「時間を操る装置は壊れてしまったようだけれど、このサンプル一つでも僕らにとっては大きな収穫だ」
「君の仮設において再現不可能と考えていた事象を、この目で視認できたんだ。僕らにとってこれ以上ない程の成果だよ」
「・・・暁美ほむら」
「君がいつの日かその魂の輝きを呪いの色で満たす時、僕らに協力してもらう事になるだろう」
「全てはこの宇宙の未来のために」
「円環の理・・・いや、君は確か別の呼び名を使っていたね・・・そう・・」
「[鹿目まどか]を僕らのものにするために」

キュゥべえの新たな企みが垣間見えたところで、物語は幕を閉じる。



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